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私は、書店が好きで外出時に時間があれば必ず立ち寄ります。題名の面白そ うな本があれば、パラパラとめくり直ぐに買ってしまいます。ですから、部屋 にはまだ読んでいない本が山のように積まれています。(読むよりも、買うペ ースの方が早いようです。) 最近よく見かけるのが「買ってはいけない〜〜」とか「食べてはいけない〜 〜」という本。大きな書店で平積みされていますから、よく売れているのでし ょう。この手の本は、何年か前にも大流行しました。今回のも書店で少し読み ましたが、はっきり言ってこの本、絶対買ってはいけません! 私は農業の専門家です。農業に関する、この本の内容は極めて悪質で稚拙で す。買ってはいけません。この様な著者に1円たりとも稼がせてはいけません。 なぜなら、この本のデマ情報により、経済的な損失を被る、真面目で消費者の ことを真剣に考えている農家や生産者が多数出ると思うからです。決して許す ことができません。 ウインドレス鶏舎という鶏舎があります。文字通り、窓の無い大きな鶏舎で す。鶏が数万羽単位で飼育されているこの鶏舎は、しばしば動物愛護と食の安 全性の点で非難される代表的な存在です。この鶏舎、本当に悪者なのでしょう か? ウインドレス鶏舎は、農業施設の中で最も科学技術の進んだ、合理的で衛生 的な施設です。私がよく知っている養鶏場のウインドレス鶏舎は明るく、空調 が整っていて、気持ちのよい空間です。しかし一般の人は立ち入ることができ ません。なぜなら、鶏舎外からの病原菌の侵入をシャットアウトしているから です。 でたらめ本が推奨している鶏舎は、平飼い鶏舎です。要するに青空の下で飼 っている、放し飼いの鶏舎です。ウインドレス鶏舎の対極にある鶏舎です。も ちろん、この鶏舎で上手に飼育している養鶏農家もいます。しかし、衛生面で はウインドレス鶏舎の足元にも及びません。 放し飼いということから、平飼い鶏舎には健康的なイメージがあります。逆 にウインドレス鶏舎は窓が無い(一体、誰がこんなイメージの悪い名称をつけ たのだろう?馬鹿だと思うなあ)というだけで、不健康なイメージを持たれて しまいます。でも、鶏が病気にかかりやすいのは平飼い鶏舎、開放型鶏舎、ウ インドレス鶏舎の順で、当然伝染病にかかりにくいのは外界から隔離されてい るウインドレス鶏舎なのです。 食の安全性を考えるときに、よくはき違えられるのが「健康的なイメージ」 イコール「安全」です。例えば、山の湧き水には健康的なイメージがあります が、水道水にはありません。しかし、常時飲料に使うとなると、安全性が問題 になります。手放しで、山の水を飲料用に選ぶことができますか?私にはでき ません。水道水は体に良くないかもしれませんが、安全性には信用が置けます。 しかし、湧き水や地下水には信用がありません。 直接健康に関わる、食の問題を考えるのなら、くだらない本や雑誌が描く、 誤ったイメージや情報に左右されてはいけません。自分の目で確かめること、 そしてよく学習することが必要です。あなたの周りには、意外と身近に、その ような情報を教えてくれる機関や方法があるはずです。 私が勤める農業改良普及センターがそのひとつです。また、JA(農協)や 市役所、町役場でもいいでしょう。地域の農業振興のために作成している、パ ンフレットや農業関係の資料が無料で入手できるはずです。書店で販売してい るタウン誌やグルメ関係の情報誌よりも、質の良い情報が手に入りますよ。表 現がやや堅いかもしれませんが。 そして、それらの情報をもとに農業の生産現場に行ってみましょう。そのよ うなイベントがどこの地域でも開催されているはずです。農村では、街や消費 者との交流イベントを企画する機会が増えています。農家の人と会い、直接話 をしてみてください。地域の農業が、あなた達の健康を守り、食の楽しみを提 供してくれる有り難い存在であることに気がつくはずです。 消費者と農業生産者が互いに歩み寄りましょう。お互いの立場を尊重し、お 互いのためになることを農業を通じて実践しましょう。これが本当の地産池消 の姿だと思います。 近い将来、食糧危機が必ず来ると言われています。その時、輸入食料はあて になりません。自分達の、また子供達の将来のために、国内の農業を発展させ、 食料自給率を高めなければなりません。農業は農家や行政だけが、いくら頑張 っても発展できません。消費者の理解が必要です。皆が一丸となって取り組ま なければ解決しない難しい問題です。地産池消はその重要な取り組みの、分か りやすいモデルなのです。 |
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