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ホルスタイン種という牛がいます。白黒ぶちでおなじみの、乳製品には欠か せないキャラクターの牛です。日本で生産されている牛乳の大半がホルスタイ ン種のものです。ほかにはジャージー種があります。ホルスタイン種に比べる と乳脂肪や乳タンパクなどの乳成分が濃いのが特徴です。 ホルスタイン種が他の乳牛に比べ、圧倒的に勝っている能力が、その泌乳量 の多さです。1回のお産で、通常は10ヶ月程度搾乳します。そして、総乳量 が1万キログラム(1リットルの牛乳パックなら、約1万本)を超える牛も珍 しくありません。まさに、牛乳生産マシーンとなりつつあるのがホルスタイン 種です。 牛乳は、タンパク質やカルシウムなど、人間に有用な栄養成分を多く含むこ とで優れた栄養食品とされています。牛乳中のタンパク質は3パーセント程度 です。1万キロの牛乳からは300キロ、1ヶ月当たり30キロ、1日当たり 1キログラムのタンパク質が1頭のホルスタイン種から生産されることになり ます。ものすごい量です。 この、莫大な量のタンパク質を生み出す乳牛の主食は牧草です。トウモロコ シや大麦、場合によっては大豆などの穀類も与えますが、主食はやはり牧草で す。しかし、牧草中のタンパク質含量はたかがしれています。この牧草から、 乳牛がいかにしてタンパク質を生成するのか説明します。 乳牛の胃袋は、第1胃(ルーメンといいます)、第2胃、第3胃そして第4 胃の4つの胃袋からなります。このうち特に重要な役割を果たすのが、第1胃、 ルーメンです。ルーメンは胃全体の8割近くを占め、容積はなんと200リッ トルと風呂桶なみです。 ルーメンの役割は乳牛の発酵タンクと言えます。この中には、無数の微生物 が生息しており、食べた飼料の消化はすべてが微生物によって行われます。栄 養価の低い牧草のタンパク質が、良質な牛乳タンパクへと華麗なる変身を遂げ る立役者は、この微生物なのです。 ルーメン中の草のタンパク質を微生物が分解し、自らが増殖するのに利用し ます。そして、様々な過程を経て、栄養価の高い微生物タンパク質に変身しま す。乳牛は、この微生物タンパク質を利用して、莫大な量の牛乳を生産してい るのです。 酪農という仕事において、よりたくさんの収入を得るためには、よりたくさ んの牛乳を生産することが必要です。よりたくさんの牛乳を生産するためには、 よりたくさんの飼料を乳牛に食べさせることです。要するに、酪農で稼ぐ最大 のポイントは、乳牛に飼料をたくさん食べさせることなのです。 しかし、乳牛はこちらが思ったとおりにたくさんの飼料を食べてくれるとは 限りませんし、無茶苦茶な飼料を与えると健康を害して、すぐに病気になって しまいます。 飼料で失敗する酪農家の多くは、ルーメン微生物の存在を無視しています。 重要な視点は「乳牛に飼料を与える」のではなく、「ルーメン微生物を最大限 に増殖させるために飼料を与える」ということなのです。 重要な視点は、今見えている現象と違うところに存在するということがよく あります。野球でピッチャーが、自慢の速球に磨きをかけるときに、ボールを 投げる腕を強化するのではなく、土台となる足腰の強化を図るのも、その様な ことだと思います。 成果が上がらず、行き詰ったとき、一番問題になっている部分から離れ、違 う部分に視点を置いてみる。そのことにより、問題の突破口が発見できた!こ の様な経験きっとあるのではないでしょうか。仕事や日常生活において、大変 重要な教訓であると思います。 |
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