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私は地方の農林行政に関する仕事をしていますが、最近特に感じるのは、こ の業界は量や数字の評価は明確に行えるが、質を重要視する姿勢が著しく欠け ているなあということです。 私たち農業改良普及員は、戦後の貧しい食糧事情を打破するために、農業改 良助長法という法律のもと任命されました。当時の普及員の使命は食糧増産、 とにかく米や麦などの農産物の生産量を増やすための技術指導が普及員に与え られた役割でした。戦後60年間の長きにわたり、日本の農業は著しい進歩を 遂げ、普及員も役割を全うしました。その結果、食に関して日本は世界一豊か な国になりました。 今、農業や農村そして普及員に与えられた役割は、食糧の増産ではありませ ん。国内の食糧自給率を上げるという命題はあるものの、それ以上に重要な課 題は、消費者に安全で品質の良い食糧を提供することです。つまり、農産物に 求められる価値が量から質にシフトしていることにあります。 ただし、消費者が品質の良い農産物を望んでも、品質の良さをきちんと評価 できるシステムがないと農家はつくることができません。なぜなら、流通市場 において品質の悪いモノと混ざってしまい、差別化されず、品質の良さに見合 う価格設定にならないためです。農家としては、馬鹿馬鹿しくてやる気になら ないということになってしまうのです。 残念ながら、現在の農産物市場の多くは、品質の良い農産物を評価できる体 制になっていません。また品質という点において、市場と消費者の認識には乖 離があります。一例を挙げます。有機無農薬栽培で味は良いが曲がったキュウ リと農薬でしっかり防除した、見た目がきれいでまっすぐな形のキュウリ。さ て、あなたが買うならどちらを選ぶでしょう? 曲がったキュウリは、味が良くても、無農薬で安全性が優れていても、形が 悪いと言うだけで規格外品としてクズ同然の評価をされてしまいます。理由は 簡単で箱に詰めたり、梱包したり、要するに流通段階で邪魔になるからです。 つまり消費者ニーズよりも、流通関係者のニーズが優先されているわけです。 農産物市場の物流に関しては、依然として大量生産・大量販売を良しとする 「質より量」重視の考え方が一般的です。このことが、安全性の高い国内農産 物よりも、安全性が不透明であっても価格が安くて大量に搬入される輸入農産 物が、市場で重宝される要因です。また、質に関しても、先ほど述べたとおり 流通サイドのニーズがまず優先されます。 しかし、誤解を招かないように言いますが、私は流通関係を非難しているの ではありません。流通関係のニーズは、実は消費者ニーズにつながっているの です。消費者は安全性が高くて、新鮮で味の良い農産物を求めます。しかし、 この消費者ニーズを満たす農産物は絶対に安価では生産できません。要するに、 値段を選ぶか、品質を選ぶかどちらかで、現在のところ消費者は値段を最優先 させているのです 以前、メルマガで書きましたが、品質の良いものは必ず高価なものです。 それは、自動車、ブランド品や電気製品などを考えるとすぐに理解できます。 しかし、農産物や食品になるとその常識を見事に失ってしまいます。その消費 者の間違った感覚が、農産物の流通をおかしくしているのです。 健康で長生きしたいのであれば、安物は食べないことです。安価で品質の良 い食品はまずありません。自分の身体を、健康を養ってくれるものです。もっ と投資をしてもいいのではないでしょうか。 そして、もっと質にこだわりましょう。食品のみならず、あらゆるものに関 して、その品質にこだわり、知識を深めるべきです。大量生産・大量消費の時 代は終わりました。損得よりも質にこだわり、それを取り入れることにより生 活や自分自身を高める。その様な姿勢が、これからは大変重要であるような気 がします。 |
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